お世話になります。
うう。しまああです。
今日、近所の森に入ると、キノコがたくさん生えていました。
あ〜。キノコの季節だなあ、と思って。
あ〜。キノコと言えば、と思って。
あ〜。フィンランドだなあ、と思った。
フィンランド人は森によく入る。
フィンランドには自然享受権(←この翻訳が正しいのかはいつもよくわからないけど)というものがあって、自然の恵みを得ることを全ての国民に与えられるべき権利だとしている。だから、森でベリー狩りをしたり、キノコ狩りをすることが結構一般的である。
たしかフィンランドにいた時の話だが、フィンランド人は毒を抜いてまでして、毒キノコ(Korvasieniシャグマアミガサタケ)を食べようとする、と聞いた。「クレイジーだろ?」と自嘲的な笑いを誘うのが、実にフィンランド的である。
毒キノコをぐつぐつ煮ると、毒が溶け出すので、毒を抜くことができる。それも一回の煮沸処理では毒が抜ききれないので、何度か繰り返すらしい。そこまでして、毒のある食べ物を食べたいのだろうか。
(↑「フィンランド 毒 きのこ」調べたら日本語のサイトでわんさか出てきた。すごい。)
なんじゃそりゃ。
ってその時は一瞬思った。一瞬だけ。
そこで、「ん?」と思った。
「日本人も変わらなくね?」と思った。
有名どころで言えば、梅、フグあたり。
梅は毒抜くのに、加工しないと食べられないし、フグなんて渦鞭毛藻から摂取した毒を体に溜め込むから、肝臓、皮、卵巣を取り除いて食べないといけない。
ひじきもヒ素を多く含むから、煮込んでヒ素を取り除かないと食べられない(この時に鉄の鍋で煮ている場合、鉄分が豊富)。蒟蒻も蒟蒻芋の段階だと毒がある。非常食で言えば、ヒガンバナも食べられていたらしいし(https://zazamushi.net/higanbana/ ←ヒガンバナを実食した素晴らしいブログを見つけた)。
カビも毒が発生することもあるけど、取り除いて食べたりするし。
カビも取り除けば大丈夫、の代表が昔の鏡餅なんだけど、今、本物のついたお餅を鏡餅にすること滅多にないからな。あまりカビの生えた鏡餅って見ないよな。
まあ、日本の毒料理(?)の中でも、フグの卵巣の糠漬けのヤバさはピカイチだ。
猛毒のフグの卵巣を糠漬けにしていたら、なぜか毒が消えるという謎の食べ物。
一回食べてみたいなあ、とはずっと思ってる。
万国共通の食べ物で言えば、じゃがいもだって毒がある。
じゃがいもの芽とか、青くなったじゃがいもは毒がある。
あれ、原種のジャガイモは毒消しのために泥(土)と一緒に食べるって話を聞いたことあるし。
そうやって考えると、フィンランド人が毒キノコの毒を抜いて食べるなんて、全然普通なことな気がしてくる。全然クレイジーなんかではない。
ところで、毒のある食べ物を食べたことある人はいるだろうか。
あれは舌がピリピリする。周りに試したことがある人がなぜかいないので、あまり共感してもらえたことがないけれど。
じゃがいもの青いところを取り除かずに食べたり、パンに生えたカビを全部取り除けていなかったのに気が付かず口に入れたり、山で歩いていて、お腹がすいたから、見た目食べれそうだなと思った葉っぱを齧ってみたときとか、とにかく、毒を食べると、舌というか喉というかの不快感がやばい。
ああ。人間って、こうやって食べれるかどうかを確認していったんだなあ、と思ったものだ。人間という生物の機能は、意外と優秀なのだ。
友達にこの話をすると、クレイジーだと言われる。
大変遺憾である。
私は、korvasieniのような明らかに毒のありそうなキノコを食べようなんて思わないし、今までの毒物摂取は、単なる偶然の結果だ。
それに、今日の記事で紹介してきたように、これまで世界中の人々が毒を乗り越えて生きてきたのだから、私がやっていることも、それとなんら変わりはない。私は、いたって普通の人間である。
でもまあ、食べてしまった人の感想としては、毒物は避けられるのであれば、やっぱり避けるべきだと思う。敢えて試すなんて、そんな愚行を犯す必要はない。というか、危険なのでやってはいけない。私みたいに、たまたまやってしまうことはあるかもしれないけど。
ちなみに、フィンランドでポテチ買ったとき普通に青いやつが入っていてびっくりしたことがある。青い部分を食べるとピリッとするからわかると思うけど、外国に行った時はポテチにも気を配った方が賢明である。
でも、調理済みkorvasieniは食べてみたいなあ。
それでは〜。uuu!! simaaaa!!
追伸
職場の大先輩と話していたら、偶々キノコの話になった。野生のキノコを食べるのがどれだけ嫌か、を2人で語り合ったのだが、大先輩がその理由としてあげた話がとても興味深かったので紹介したい。
大先輩の曽祖母(と言っていたような気がする)は、開拓の頃の激動の時代を生きた方であるらしい。
なので、食料として、山の中で取ってきたキノコなどをよく食卓に出していた。
そのバアさまは、取ってきたキノコに自分では手をつけず、最初にそのキノコを口に入れた人をじっと観察していたらしい。そして、食べた人に反応がないとわかると、自分もキノコを食べ始めたそうである。
遅効性の毒は、強毒であることがあまりないけど、即効性の毒はかなり危険なものがある。食べてしばらく反応がないのであれば、食べて大丈夫ということである。
私と大先輩は、「ヤバいけど、一番確実な毒キノコの見分け方だね」と言って、2人で笑った。
(その大先輩は、キノコ図鑑を見ると、食用のキノコと食べられるキノコと二つの分類があることが既に怖いと言っていた。確かに!)
「いや、家族に毒見させるなよ」とも思ったけれど、「なるほど、昔の人はそうやって生き残ってきたんだな」と一種の感動すら覚えた。生き残るってそういうことだよなって思う。
総じて、昔の人は逞しいなと感じた良い話だった。