記憶の中のフィンランド

フィンランド留学時代の記憶を元に。アフィリエイトでガッポガポ作戦。

ムーミン留学の話

お世話になります。

うう。しまああです。

 

 

初めて、ホオズキの実を食べました。

うまい。

 

フィンランドにも、オランダ産か何かのホオズキの実が売られていた気がする。

ノルウェーとの国境のスーパーで見たような。

 

 

 

 

 

 

今回はずっと読みたいと思っていたのに、読んでいなかった本について。

ムーミンをとても効果的に引用して、構成もとても綺麗な本だ。どうも、映画をたまに見るせいで、本の構成も気になるようになった。まあ、それはいいのだ。

 

今から書くのは、ただの感想文。

 

『青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記』高橋絵里香著 2007

 

bookclub.kodansha.co.jp

 

とても良い本だった。

その人が見えるような文章で。

 

 

内容は、ムーミンを読んで、フィンランドに高校生で留学しちゃう女性(エリカさん)の話。

私も小学校の時に、ムーミンを読んでいたはずなのに、ここまで異なる人生を歩むものなのか、とびっくりした。ムーミン読んで、フィンランドで暮らそうだなんて、私は思ったことがなかった。

 

確かにムーミンは不思議な感じのする本だった。

おどろおどろしいのに、ものすごく怖いわけでもないのだ。ファンタジーというよりは、童話寄り。

 

ムーミン、もう一度読み直した方がいいかな、なんて思った。

 

 

 

 

日本の中学校に対する印象も私の世代とずいぶん違った。

日本の中学校は少し前まで、暴力がそんなにありふれていたのだろうか。変な感じがするけど、私が恵まれていただけなのか、良くわからない。

 

私の中学校はあちこちから人が集まっていたから、荒れているところの話はたまに耳にした。

友達の小学校は、県内で3番目くらいに荒れていて、荒れすぎて窓ガラスが復活しないとか、警察がよく来ていたとか。他の友達は、「今日部活休むわ」というから、どうしたか聞いたら、「地元の友達が、隣町の奴らと喧嘩するから、加勢しにいく」と言うから、「いってらっしゃーい」と見送ったりした。

 

みんな大変なんだな、くらいに受け取っていたけど、私よりさらに世代が上になると、もっと大変だったのかもしれない。私の地元の中学も、小学校の時見学に行ったら、足を机に乗せて授業を聞いていた(?)のに、びっくりしたから、日本の中学校というのは、この本のような恐ろしいところが結構あるのかもしれない、とも思った。私は、省エネタイプで、怒られるのが嫌だから校則とかは守っていたけど、そのおかげなのか、先生にも生徒にも大して絡まれることなく、逆にずっとマイペースさを保てていた気がする。

 

私は、中学も高校も嫌いだった。中学高校のような、狭いコミュニティになると、お互いに逃げ場がない。大学に行ってから、関わりを持たないという選択肢がないことが、どれだけ生きにくさに繋がっていたか、を実感した。それに、高校生くらいだと、そこをうまく立ち回れるほどに、経験が足りない。その点、大学は人生で一番生きやすくて、楽しかった。校則だとか、強制的に一緒にいないといけないクラスメイトとか、面倒なことから解放された感じがした。それは中高で嫌だったから味わえる解放感なのか、中高の体験こそが味わわなくてもいい閉塞感だったのか、私にはわからない。

 

 

エリカさんのように、そういうしがらみのようなものから、高校生で解放されるのならば、それはとても良い選択だと思う。

 

でも一方で、私はフィンランド人の高校生は高校生で、似たような閉塞感を抱えている人も結構いるんじゃないかと思う。私が話したフィンランド人の中には、「日本はコスプレとかゲームとか、自由にできていいね」と言う人もいたし(日本という国はそういうイメージなのかもしれない)、フィンランドのような先進的な国で、ホモセクシュアルの人のいじめの話も聞いたりしたから、案外、若さってものが作用している部分も大きいんじゃないかと思う。外国人が少し変なことをしていても、「外国人だから」で説明がついてしまうことが結構あるしね。いや、エリカさんの話を否定するつもりはないんだけどさ。

 

 

結局、みんな、どこかに逃げ場を求めている時期があるのだ、と思う。なら、逃げればいいじゃん、と思わせてくれる、素敵な本だと思う。いや、逃げるって言ったら、言い方が悪いかもしれないし、エリカさんの意図とは違うかもしれないけど。私は、日本人はもっと本能に従って逃げた方が良いと思う。

 

 

 

 

 

これまでの話と全然関係ないけど、エリカさんの話でなんとなく好きな話がある。

フィンランド語がまだ拙かったエリカさんのために、ホストファミリーが家の中にあるモノに、そのフィンランド語の名称を書いて、貼ってくれていた、という話だ。冷蔵庫ならjääkaappiとか、電子レンジならmikroaaltouuniとか、見てわかるように。フィンランド語が使えるようになるように、日常のそういうところから、ホストファミリーが協力してくれていたらしい。

なんだか、語学の勉強の参考になるし、良い話だなと思う。ほんわかする。どこかフィンランドらしい温かさがある気がする。

 

 

 

 

最後に。

私は、人に対して凄いなと思った時は、その凄さはその人の才能ではなく、きっと努力の結果なのだ、と思うようにしている。エリカさんは、本の中で書かれているように、これだけ周囲の人から頑張ったね、と評価されている。それに、私もほんの少しの期間だけど留学を齧っているから、留学の苦労もほんのちょびっとだけ知っている。その上で本を読むと、エリカさんは間違いなく努力の人だと感じられた。

 

ああ、やっぱりこの人は努力してきたんだな、と思って、満足に本を読み終わることができた。kiitos.