お世話になります。
うう。しまああです。
私も中国人から、その話を聞くまでは、まさかフィンランドがそんな大きな問題を抱えているとは思いもしなかった。いや、まさかだった。まさに目からウロコ。目からハム(イタリアの諺『目からハム』田丸公美子著より)だった。
一応、一般的なフィンランドのイメージを先に記述しておこう。
フィンランドといえば、森と湖の国などと表現され、国土の70%以上が森に覆われている、自然が豊かな国である。フィンランド発祥と言われるサウナが現在、日本で異常なほどの熱気を見せている。教育もよし、社会福祉もよし。可愛くてお洒落なフィンランドの、日本での印象は抜群である。
欠点としてさっと思いつくのは、ほんのちょっと寒いことと、ご飯の味に期待できないことである。気候に関しては、仕方がない。ご飯の味に関しては、育てられる作物が少なかったためか、ヨーロッパの北の方の国には大体当てはまることだから、これも仕方がない。ということは、あまり、大きな欠点らしい欠点も見当たらない。
ところが、中国から留学していた生物学科専攻の学生の1人が、深刻な顔をして、こう言った。
「フィンランドには重大な問題がある。」
しかも、話を聞くと、その中国人の知り合いは、そのせいで心に少なくないダメージを負っているという。話を最後まで聞くと分かるが、その問題はフィンランドでは全く問題視されておらず、何事にも先進的なフィンランドにおいて、その分野は未発達と言わざるを得ない状況だった。由々しき事態である。
「Ouluでも、keskusta(city centre:中心街)の方に行けば、多少マシだよ。でも、気持ち的には全然足りない」
そして彼はこう述べた。
「ここは恐ろしい国だよ。」
では、何が問題なのか。
いつも陽気なその中国人は、恐ろしげに顔をしかめて私に告げた。
「フィンランドは空気が綺麗すぎるんだ。」
↓この記事には、「WHOが調査したデータによると、フィンランドは世界で一番空気が綺麗な国である」とある。
これはヤバい。
何せフィンランドでは大気汚染が未発達なのだ。
一方の中国を思い浮かべてほしい。
中国は大気汚染が高度に進んでいる国だ。私が中国に滞在した時も、大気汚染警報で外出を控えるように、というニュースが流れたりした。
そんな中国の発展した大気(汚染)環境に慣れた中国人が、いきなり原始的な空気(の綺麗さ)を保持した環境に耐えられるだろうか。いや、耐えられまい(反語懐かしい)。
ちょっと『風の谷のナウシカ(本)』っぽい。
え、わからない? 映画じゃない方のナウシカを読んでみて。
私は中国人のあの時の深刻そうな顔を今でも思い出せる。
「俺はホームシックにかかっている。今日はkeskusta(中心街)の方に行って、車の排気ガスを肺いっぱいに吸うんだ。それでも少ないけど、多少マシになるんだ。排気ガスの匂いを嗅ぐと、モクモクと故郷の姿が目に浮かぶ。」
そこで、中国人はニヤリとした。
「その点、ここは恐ろしい国だよ。」
もちろんジョークである。若干の本音が混じっているとは思うけど。
そもそも、Ouluでは、keskusta(中心街)に行っても、大して車は走っていないけど。本当に、排気ガス不足も甚だしい。中国人がホームシックになったとしても無理はないレベル。
排気ガスを肺いっぱいにガッチリ吸う。
中国人の斬新なホームシックの治療法に、私は感心しきりだった。
それでは〜。uu!! simaaaaa!!!