お世話になります。
うう。しまああです。
はるか昔。
これは第2次安倍内閣発足より後、第4次安倍内閣解散より前の話。
私は1月に留学へ出発しました。
1月1日。
私は実家にいた。
私は兄に唆された。
「海外行くなら、良いカメラ買った方がいいんじゃない?」
「そっか〜」
1月3日。
私はデジタル一眼レフを購入した。
「海外行くんだね。頑張ってね」と祖父母からもらった御餞別を私はカメラに注(つ)ぎ込んだ。
あとで聞いた話だが、兄は私が本当に一眼レフを買うとは思っていなかったらしい。
兄はずっと買いたくて仕方なかったのに、値段で躊躇っていたところを、ポッと出の弟が何も考えずに購入したことにブーブー言っていたらしい。
知らん。唆したのは、そっちだ。
1月5日。
私は成田空港にいた。
心臓はバクバクである。
伝わるだろうか。このドキドキ感。
航空券を握りしめるようにして、搭乗口に並んでいた私は、なぜかキャビンアテンダントのお兄さんに呼び止められた。
「こちらに並んでください」
案内された先は、
エコノミーじゃない席だった。
「なんで??」
びっくりしすぎて、私はスッチーに間違っていないか確認した。
どうやら、間違っていないらしい。
後から兄に聞いたところ、ダブルブッキングか何かで、席がランクアップしたらしい。
私のチケットは留学生とか用の帰りの便が自由に変更できるチケット。多分チケット的に私の将来が有望視されたに違いない。そう。私は将来有望な男なのだ。
私は隣に座ったマダムに話しかけた。
「すごいですね。なんか知らないうちにこの席になってしまって。初めてビジネス乗るから、緊張しちゃいます。」
「わかります。私も同じです。エコノミーで買ったのに、こっちに案内されちゃって」
あれ。どうやら、隣のマダムも将来有望らしい。
私の席には、担当者が付いた。
たしか金城さんだか金本さんなんだかという金系列の名前だった。かなり経験を積んだ感じのCAだった。どうせなら、経験を積んでいなくてもいいから、フィンランド人のCAに付いてもらいたかった。
まあ、いい。ここが最後の日本を感じる場所なのだ。
なんだこれは。豪遊か。
留学とは豪遊することなのか。
めちゃくちゃ日本を感じた。それも日本では感じたことのないくらい。もはや、ここ(機内)こそが日本だ。
すげーよ、留学。
おお。そうだった。
じっとしてばかりではいられない。
私には、兄から授かった崇高な任務があるのだ。
私は荷物を抱えて、いそいそと席を立った。
隣の将来有望なマダムに「すみません」と言いながら。
トイレに入った私は、抱えた荷物の中から、ブツを取り出した。
そしてそれを構えた。
パシャ。
一眼レフの小気味良い音がした。
私は兄に頼まれていた。
「おい、お前何日のどこの航空会社の便に乗るんだ?」
「JALの1月5日出発のやつ」
「わかった」
兄はパチパチとパソコンをいじると、何かを調べ出した。
「おお!」
「どうしたの?」
「お前が乗る便は、俺が乗ったことないやつだ。(飛行機の)トイレの写真撮ってきて」
兄には留学関係で少しお世話になっていた。
だから、私は渋々頷いた。
「わかった」
「ちゃんと買った一眼で撮れよ」
カメラまでご指名だった。
兄の趣味に付き合わされることになった私は、飛行機に乗ってもドキドキが止まらなかった。考えてもみてほしい。飛行機に乗って、一眼を持ってトイレに篭って写真を撮る恥ずかしさを。しかも写真を撮るときには音が鳴る。
聞こえていないだろうか。
めっちゃ恥ずかしかった。
ちなみに、もっと後の話だが、飛行機のCAさん用の収納座席の写真がほしいと言われて、その写真を撮らされたこともある。その時は、お客さんが全員降りるのを待って、両手でカメラを構えて、CAさんに「どうしました? 大丈夫ですか?」と言われながら、写真を撮った。
兄にたびたび助けられているせいで、いつも謎の辱めを受けている。
私の将来は有望である。
飛行機乗ると、嬉しくなってみんな撮るやつ↓
ロシアの太陽はほんま綺麗やった。
というわけで。
フィンランド色の空。
フィンランドに到着。Finnair(フィンナイル)好きだ。
Mustikka(ブルーベリー)のmehu(ジュース)が飲める。
最高やわ。
考えるだけでニマニマしちゃうわ。
妄想と追憶による最強のSDGs。
ここから私はOuluに飛んだ。午後2時、3時を過ぎると、真っ暗な外。
ヘルシンキの空港時点で、すでに、Oulu行きの搭乗口付近は留学生と思しき同世代でいっぱいだった。留学生に囲まれ、英語が飛び交うことに緊張しすぎて、写真を撮る余裕はなかったらしい。その日、Helsinki Vantaa空港以降の写真はない。
kummiグループ(現地の学生サポーター=kummiを中心とした留学生グルーブ)でタクシーに乗った私たちが降りた先には、犬を連れたkummiの友達が待っていた。鍵を持ったその女性に連れられて、私はouluのアパートに到着した。
真っ暗な部屋。
ルームメートはまだいなかった。
ああ、ここから始まるのか。
とか思う人は余裕がある人だ。
私は疲れていた。
ご飯が食べたい。寝たい。
考えるのはまた明日だ。
それでは〜。uu!! simaaa!!