お世話になります。
うーしまーです。
今回は、フィンランド語学習者が最初にスルーすることで有名な「ウラル語族」について書いていきたいと思います。
はじめに
フィンランド語を勉強する時に、さも当然かのように伝えられる言葉がある。
「フィンランド語は、ウラル語族に属する言葉なので、他のヨーロッパの言語とは異なります。」
私は格好つけなので、
「うんうん、ウラル語族ね〜。あれだね、あれ。」
みたいな顔をして、さも納得したように流してしまう。
これまでフィンランド語の本の導入部分を読んだ回数は数知れず。その度に「ウラル語族」を右から左に受け流してきた。なんなら目に入る前に弾かれている可能性すらある。
人に説明する時すら、
「え? フィンランド語がどの言語に似てるかって? なんだい。そんなことも知らないのかい? フィンランド語はウラル語族だよ。だから、ヨーロッパの言語とは違うのだよ。一緒にしないでくれたまえ。....何? ウラル語族がわからない? 説明してあげても良いが、君に理解できるのかね? まずもって、君がインド=ヨーロッパ語族すらろくに知っているとは思えないのだが。君に比較できるだけの言語の引き出しはあるのかね? フフッ。わかったら帰りたまえ。吾輩の時間は有限なのだよ。」
などと知りもしないのにそれらしいことを言って誤魔化してきた。
知ったかぶりも甚だしい。
でも、冷静になって考えてみると、
「ウラルってどこよ??」
「ウラル語族って言われてわかる人がどれだけいんよ???」
「ウラルちゃん? ウラルくん? どっちが良い?」
などと、疑問が間欠泉のように吹き出してくる。
なので、
「これ、他の人も知っているフリして実はわからないんじゃね? フィンランド語学習者が500万人くらいいるとしたら、5万人くらいはわからない人がいるかもしれない。」
なんて取り留めのないバカなことを考えているうちに、なんだか本気でそんな気がしてきた。
いや、これはPVを稼げる話題に違いない。
というわけで、調べてみることにした。
でも、そんなに深くは調べないことにした。
奥が深そうで、深みにハマると、出て来れなくなりそうだ。
語族ってなに?
説明が難しいので、色々引用してみよう。
語族を英語で表すと、Language family。
つまり、言語の家族だーーーーー!!
(引用元:う〜しま〜)
はい。置いといて。
デジタル辞書系。
世界の諸言語のうち、系統を同じくすると考えられるものを一括していう称。
わかりやすい。完璧や。
お次は、wikipedia先生。
語族(ごぞく、英: Language family)とは、比較言語学において、ある言語(祖語)とそこから派生した全ての言語を含む単系統群のうち、他の単系統群に包含されることが認められていないものを指す[1]。
(語族 - Wikipediaより)
何言っているかわからん。
つまり、似た系統の言語が集まった大きなグループを語族というんだな。うん。
イタリア語とスペイン語はどう考えてもよく似てる。
フィンランド語は、英語とも日本語とも文法が大きく違う。
流石にそこまで大雑把ではないにしても、言語の構造を見ていくと、大きく分類できるという話だね。
よし、次行こう。
いくつの語族があるの?
分類によるとは思われるが、Ethnologueによると、156語族7164言語がある。
面白いサイトなので、リンクでも検索でもいいので、時間があるときに一度見てみてほしい。
このサイトによると、日本語は日琉語族(Japonic languages)に属する。日琉語族は12言語で、そのうちのほとんどの言語が沖縄系。
ちなみにインド=ヨーロッパ語族は、454言語で構成されているらしい。
すごく多いね。
ウラルって?
ウラル語族って?
ロシアのウラル山脈がある辺りで話されている言語ということだと思うけど、今となっては、ウラル周辺に限らないので、実際どうなのだろうか。とにかく、ウラル地方(Ural Federal District辺り?)で話されている言語の多くがこれに属している。
Ethnologueによると、42言語がこのUralic(ウラル語族)に属する。
そして、次の9種類の言語群に分類されるっぽい。
- Hungarian ←ハンガリー
- Khanty
- Mansi
- Finnic (13) ←フィンランド語が含まれるグループ。
- Mari (2)
- Mordvin (2)
- Permian (3)
- Sami (11) ←全部サーミ語(部族や地域ごと?)
- Samoyed (8)
でもこれだけだと、とてもわかりにくい。
というわけで、Wikipediaにも引用されている、ウラル語族論文を拾ってきた。
言語体系を地図に落とし込もうという方法論論文。なので、視覚的に見やすいはず。
有難いことに、PLOS ONEなので、閲覧にお金がかからない。
中身をさらっと読もうと思ったけど、フィンランド系の内容が少なそうなので、スキップ。
今回は図を使わせてもらうだけにしよう。
(Rantanen, T., Tolvanen, H., Roose, M., Ylikoski, J., & Vesakoski, O. (2022). Best practices for spatial language data harmonization, sharing and map creation—A case study of Uralic. Plos one, 17(6), e0269648.)
図の中央あたり、Permic(紫)とMansi(緑)の言語グループの間に縦の薄い線が入っていて、Ural Mts.と書かれている。これがウラル山脈である。
こうしてみると、ウラル地方を中心として広がる言語グループに見えてくる。
ハンガリーは離れすぎている気もするけど、マジャル人(ハンガリー人)って言ったら、ヨーロッパ系の民族ではないってことで、世界史とかでも習うくらいだから、多分ウラル系で間違いないんだろうと思う。
まあ、どうでもいいや。
とくとご覧ぜよ。これがウラル語族である。
長年よくわかっていなかったものの全容が見えて、ちょっと感動。
おわりに
なんだかわかったような、わからなかったような。
でも、地図で見て、視覚的にウラル語族というものが見えると、わかった気になれるので、とても満足できた。
ちょっとした疑問から始めたネタだったけど、意外と掘ったら面白そうだった。
というか、かなり浅いところでも面白かった。
これは良い企画だった。私が満足した。
ひとまず満足はしたけど、もし言語の分類について詳しい方がいれば、教えてください。
「フィンランド語とハンガリー語には、こういう文法的共通点があって、これはウラル語族の他の言語でも見られるんだよ!!」
とか、
「サーミ語とフィンランド語のこの共通点は単に言葉を借りたからであって、ウラル語族の特徴とは言えないよ」
とか。
自分でわざわざ調べるだけの興味を持てるかはわからないけど、そういう話は聞いてみたいなあと興味を持てた回でした。
ところで、書いている途中で思ったんだけど、この記事、もしかして少しマニアックすぎるのではなかろうか。
結論。
ウラル語族ネタでPVは伸ばせない。
それでは〜。