お世話になります。
うう。しまああです。
山内進の『北の十字軍 「ヨーロッパ」の北方拡大』(2011年 講談社学術文庫)を読むと、デンマーク国旗の由来について、このような記述がある。1219年、デンマーク国王ヴァルデマール2世が大艦隊を率いて、エストニア北部のフィンランド湾に面したレーヴァル(タリン)地方に攻め込んだ時の話である。
エストニア人の抵抗は頑強だった。ある伝承によれば、ヴァルデマール二世は、退却せざるを得ないと判断したほどだが、その時、奇跡が起こったという。白い十字のついた赤い旗が空から舞い降りてきたのである。デーン人たちは、これを神の援助の印と考えた。兵士は息を吹き返し、戦場で勇敢に戦った。こうして、勝利はついにデンマーク軍のものとなった。ちなみに。この時の旗のデザインが、そのままデンマークの国旗となり、今日にいたっている。
ちなみにちなみに。北欧諸国の旗が同じ十字の意匠なのは、カルマル同盟により、同君連合で北欧諸国が統一されていた時代を経ているからである(Cf. Nordic cross flag - Wikipedia)。
これを読んだ時、
「いや、旗が空から降ってくるなんてあり得ないだろう」
と、ミスター常識人の私は思った。
じゃあ、自然現象で空から降りてきそうなものって言ったらなんだ?
と思って考えたら、オーロラを思いついた。
オーロラって、十字になるのか?
っていうか、エストニアでそんなに綺麗に見れるだろうか?
わからん。
でも、オーロラなら赤も白もある。
十字にさえ見えればオッケーだ。あり得る。
デンマーク軍はオーロラを見たのだ。きっとそうだ。
タリンなら、ヘルシンキより少し南。
頑張れば見れる。
でも、見れるとしたら、aurora forecastで言うところの、kp9くらいは必要なのではないか。
えっ?
aurora forecastもkp9も何かわからない?
そんなあなたのために、今回はオーロラの解説をしようと思う。
前回のオーロラの投稿そのものが、読者に対するオーロラ・マウンティングに見えても嫌だなと思って、解説を加えて誤魔化そうという算段である。
解説するのは、この7つ。
- オーロラの原理
- 時期
- aurora oval
- aurora forecast
- kp
- ヒラヒラとピカピカ
- オーロラを呼ぶ方法
これさえわかれば、おそらくオーロラを見る準備はできたようなものだ。
では、解説しよう。
- オーロラの原理
これについては、私より早く、スウェーデン観光に行った親から分取った『地球の歩き方』の解説がわかりやすかったので、引用しよう。
オーロラは、太陽の黒点運動により発生する帯電した微粒子(太陽風)が、地球の大気中の原子や分子に衝突して放電し、発光したもの。オーロラのカーテンは裾が100km、上部は500kmほど上空にある。このあたりはほぼ真空状態になっており、発色の原理はネオンやブラウン管と似ている。オーロラの色は大気中の原子や分子の種類によって異なり、窒素が多いときは青く、酸素が多い場合は赤いオーロラが現れる。またオーロラがカーテン状に現れるのは、電気を帯びた微粒子が地球の磁場に引きつけられるため。カーテンのヒダは、地磁気極に向いて動いているのである。
つまり、太陽からピカピカ物質がいい感じに飛んできて、地球でいい感じに光る。これが地球の磁場によって、いい感じに形を歪められて、いい感じにうにょうにょ動くのが、オーロラである。ちなみに、写真で見るオーロラはもはや詐欺である。実物を何度か見た人ならわかる。
- 時期
とにかく暗い必要があるので、白夜の時期は見ることが不可能。春と秋が良いと聞く。私のイメージだと9-10月と2-3月が見やすい気がする。 - aurora oval
オーロラ出現スポットとなる帯状の領域である。地球の磁場の関係で、オーロラは、緯度でいうところの65度から70度のあたりに良く発生する(『地球の歩き方』参照)。まあ、地球も完全な球形ではないのと同じように、磁場も地軸を中心として、綺麗に円形を描くわけではない。オーロラを見たかったら、このaurora ovalに近いところを検索して行くと良い。これであなたもaurora ovalを理解したので、日常生活でもどんどん活用してほしい。 - aurora forecast
読んでそのまま字の如く。aurora forecastとは、オーロラの天気予報だ。アメリカのnoaaなどの機関が衛生データか何かから(?)、太陽の活動を観測して、オーロラの発生を予測した情報を発信している。これを利用して、あちこちのサイトがオーロラの発生予測情報を提供している。
ただ、どうもフィンランド周辺のaurora forecastの一番わかりやすいサイト(私が使っていたサイト)は閉鎖してしまったらしく、今、どのサイトを見たらいいのかちょっとわからなくて困ってる。好きなのを見て頂戴。
Aurora Alert Realtime | Aurora Borealis Forecast | Finland
Auroras and space weather - Finnish Meteorological Institute
Aurora forecast: latest solar wind readings (DSCOVR)
Avaruussääkeskus – RWC Finland
Aurora - 30 Minute Forecast | NOAA / NWS Space Weather Prediction Center
もちろん、天気が曇っていたら見れないので、普通の天気予報も見ないとダメ。 - kp
NOAA(アメリカの政府機関)が出しているオーロラの指標である。私が住んでいたOuluであれば、オーロラを見るのに、最低kp5-6はほしい。kp4-5とかだと見えたとしても、ほとんどもやとか雲と変わらない。kp8-9くらいあると、オーロラが活発に動くから楽しい。年に何回かしかないし、天気の都合もあるので、中々お目にかかれないけど。昔はネットで調べると、わかりやすく地図にkpと領域の関係が載っていたのだが、うまく見つからない。
Ouluはそんなにオーロラが出る頻度は高くないけど、パーティの帰りなどに、「あ、オーロラだ。今日のオーロラ強いね」とか「今日のオーロラはしょぼいね」とか話してるくらいには見れる。まあ、オーロラも一年もいれば慣れる。Ouluのオーロラ情報に関していえば、Oulu aurora spotterというfacebookグループがあるので、オーロラが出ていると、そこに写真がアップされるので、参加してもいいかもしれない。
ちなみに、Ouluで最初にオーロラ見たときはkp8とかkp9とかまでに達していたから、楽しすぎて、500枚くらい写真を撮った。 - ヒラヒラとピカピカ
オーロラといえば、カーテン状のものを思い浮かべる。これがヒラヒラである。でも、友達と見たものの中には、雨雲の中の雷みたいに、もっとピカピカと光るものがある。これがピカピカである。あれもオーロラと言われて、写真で撮ると確かにオーロラだった(写真の方が色が鮮明)。びっくり。 - オーロラを呼ぶ方法
オーロラは口笛で呼ぶんだよ、と友達のお母さんに言われて、友達のお母さんと一緒に口笛を吹いていた。可愛らしいお母さんである。そのときはもうすでに現れていたから、効果のほどはわからないが、なんだかオーロラが応えてくれている気がするので、やる価値は十分にある。多分ほとんどfeelingの問題。だけど、feelingは大事。そういえば、フィンランド語では、オーロラをrevontulet(revontuli)と呼ぶけれど、repoがキツネ(文法のkpt変換は説明が面倒なので割愛)、tuliで火なので、revontuletは狐火である。だから、口笛にキツネが反応して、狐火(オーロラ)が発生するのかもしれない、とか無駄に考えてみたりした。ちなみに、kettuもキツネだけど、repoとどう違うのかは知らない。
だいぶきっちり解説したから、もうオーロラを見る準備は完璧だと思う。
あとは各自オーロラを見るべく、旅立ってほしい。
そういえば、イタリア人のルームメイトが、オーロラの発生を予測するアプリを作るとか言っていたけど、どうなったのだろうか。気になる。
それでは〜。uuuu!! simaaaaaaaaa!!!